妻木芳人オリジナルBL漫画サイト「DANCE HALL」

「TOY」

イラスト「TOY」

(Sideルース)どうしてこの人は街に来る度こうなんだ。 「君、名前は?この髪は地毛?すごく綺麗な色だね」 「レ~イ~…!」 僕は美女の前で瞳を輝かせている彼の襟首をつかみ、ズルズルと引きずって歩いた。 「ルーズぐん…ぐるじい―…」 「この浮気者!色狂い!!」 確かに僕たちは恋人じゃない…でも、僕の気持を知っていながら堂々とナンパするなんてひどすぎる。 「どうしてあなたはそうなんですか…美人となれば老若男女見境がない!」 「美しいものは見ていて飽きないからね~。そんなに怒るようなことかい?宝石と愛でるのと同じじゃないか」 わかってない…宝石と人間じゃ全然違うでしょうに。この人の感覚はどこかずれている。 「昨夜は僕の下で善がっていたくせに…」 「はぁ…どうして張り合おうとするのかね~。SEXは快楽を得るためのもの。私は男相手の方が気持ち良くなれる。だか らいくら美人でも女性とのSEXには興味がない。わかるかい?」 「信じられませんよ…そんなの。美しいものが大好きなあなたのことだ、今は違っても、いつかそれを触ってみたい、自分 のものにしたいと思う時がくるかもしれない…!」 話していて心がズキズキと疼くのがわかった。そうだ、今の僕たちの関係は、壊れたところで文句すら言えないような不確 かなものなのだと痛感する。 「そんなに不安なら、ここで買い物でもしてくればいい」 「…?」 レイは怒っているのか笑っているのかわからないような表情で、あるお店を指さした。おもちゃ屋…?いや…違う、ここは ――… 「なっ…!何を言い出すんですか!急に――…!!」 「ここなら目新しいおもちゃ(大人用)が売っているだろう?もっとすっごいプレイで快楽漬けにしてしまえば、浮気の心 配も減るじゃないか」 正論を言っています、みたいな顔でレイは飄々と話す。いや、何か論点がずれてきているぞ!?僕が言いたかったのはそう いうことじゃなかったはず――…。 「ルース君…ねぇいいだろ…いろんなおもちゃで君にもっといじめられたいんだ――…」 「~…!!」 レイは上目使いで僕を見つめてくる。愛しい相手から耳元でそんなことを囁かれて、拒否できる男がこの世にいるだろうか? 僕はどうしていいのかわからないまま、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるレイを恨めしく見つめた。 「(はぁ――…僕はまたからかわれているんだろうか…)」