妻木芳人オリジナルBL漫画サイト「DANCE HALL」

「おとうさんといっしょ」

イラスト「おとうさんといっしょ」

(Sideレイ)今日という今日は絶対に大丈夫だ。 窓もドアも確実に施錠はしたし、 マリアにもあいつだけは絶対に上げるなと言っておいた。 ガチャ――… 「いやールース君、君は本当におもしろい子だね」 「いえ、お父さんの方こそ…怪盗時代のお話は聞いていて飽きない」 「…っ!!」 どういうことだ!?なんでルースとあいつが私の家の客間で和んでいる!?? 「おい!ルース!!なに勝手にそいつを上げてるんだ!」 「人聞きの悪いこと言わないで下さい!僕が来たときにはもういらっしゃいましたよ」 「そうだよ、レイ。鍵を付け替えるなんてひどいじゃないか…おかげで少々てこずってしまったよ」 何てことだ!最新の鍵に付け替えたのに、やっぱりピッキングしてきやがったのか!! これだから元怪盗ってやつは…! 「…用がないなら帰ってください。というか用があっても帰ってください」 「あーん!相変わらず冷たいな~レイ~!でもわかっているよ、その態度は愛情の裏返しなんだろう?」 はぁ…鬱陶しい。わかったからベタベタ体中まさぐるんじゃない!! 「今日は君たちに見せたいものがあって来たんだよ」 「見せたいもの…ですか?」 ルースは少し興味があるようだが、私は全くない。どうせこいつの持ってくるものなんて、ろくなもんじゃないんだから! 「これだよ」 ノート?いや、写真立てだ。こいつにしては珍しくまとも。表紙にはたくさんの宝石が散りばめられている。 「うわーすごく綺麗な写真立てですね」 「そうだろう。これは呪われた写真立てだという噂があってね~飾られた写真に写っている者は皆死ぬという…」 やっぱりか…こいつの持ってくるものは呪いだのなんだのと気味の悪いものばかりだ。 「――…あの、お父さん」 「何かね?ルース君」 「これってもしかして…レイとお父さん…?」 「あぁ…そうだよ。可愛いだろう、確かレイが3つぐらいの頃のものだ」 写真を見ると、小さな男の子と笑顔で彼を抱きしめる私そっくりの若い男がいた。 「おい貴様!!私を殺す気か!?心中でもしたいのか――…!!」 「落ち着け、レイ。これを飾ったのは随分昔さ。二人ともピンピンしているということは噂は噂だったということだ」 そりゃそうだが、呪いが本当だったらどうする気だったんだ!!しかも自分も写っているのに――…この男の思考回路はやはりどうかしてる。 「お父さんの若い頃…」 ふいにルースが写真を見ながらつぶやいた。 「すごく綺麗――…レイにそっくりだ…」 「――…!」 綺麗…だと?ルースが私以外の男をそんなふうに言うのは聞いたことがない。 「嬉しいな~そのぐらい若ければ君をつまみ食いしていたところだよ!可愛いルース君」 私は咄嗟にルースの腕をつかんでいた。だってやつがあんまり彼に近づくものだから――… 「ルースは…華麗で素敵な黒の紳士に夢中ですから!」 「――…」 二人ともポカーンとしている。自分でも何がしたかったのかわからない。ただ咄嗟に出たのがその言葉だった。 「ふふっ…そうか残念だな~。――…あ、その写真立てはルース君、君にプレゼントするよ」 「…え?いいんですか?」 「あぁ、ただの写真立てには興味がないからね~」 そう言うと、やつはソファからさっと立ち上がった。そしてニヤニヤ嫌味な笑みを浮かべながら去り際に一言。 「良いパートナーが見つかって良かったね、レイ」