妻木芳人オリジナルBL漫画サイト「DANCE HALL」

「バカンス」

イラスト「バカンス」

(Sideレイ)熱い太陽、白い砂浜…地上の楽園とはこのことか――! 「やめて下さいってば!!」 それなのにこの男ときたら「僕は浜辺で読書でもしていますよ」だと!? こんなに綺麗な海が目の前にあるのに泳がないなんて… そりゃ追剥まがいのこともしたくなる。 「大体…裸で泳ぐなんてありえないですよ!」 「はっ!ここはプライベートビーチだぞ?私と君しかいないのに何を気にする必要がある?」 この頑固者…これだけ説得しているのにまだ服を脱ごうとしない。 私はもう全裸で準備万端だというのに! 「と…とにかく僕は遠慮しますから。あなた一人で楽しんできて下さい」 ルースは恥ずかしそうに目をそらした。 おもしろくない…ルースのくせに私を放っておくなんて! ザブザブと海水をかき分けながら、 なんとか彼を連れてくる方法はないものかと考えを巡らせる。 「…ふふっ…そうだ」 いいことを思いついた。これならきっとここまで泳いでくるに違いない――――… 「レーイ!そろそろお昼にしませんかー?」 「…」 「レーイ!」 「…」 「レイ…?」 おっ!来た来た!さすがにこの距離で浮いていて聞こえないはずはないものな! 返事がなければ溺れたと勘違いして飛んでくるだろう。 「死んだふりーって言ったらどんな顔するかな…ふふふっ」 ザブザブザブ―――…水しぶきが近づいてきた。さて、種明かしをするか―― 「死んだふ――…」「レイ!!!」 急にぐっと抱き寄せられた。 「大丈夫ですか!??水飲んでませんか!?息は――…」 ルースの顔を見ると真っ青で、とてもじゃないが冗談で済まされるような雰囲気ではない。 待て待て、こんな浅瀬で私が本当に溺れるはずないだろう?冷静に考えればわかることなのに――… 「ルース君、大丈夫だ!落ち着け」 「レイ…良かった…返事がなかったからどうしたのかと…」 「…君をからかっただけだ。本当は溺れちゃいない」 最悪だ。いたずらの説明をさせられることほど格好の悪いことはない。 しかも目の前のルースは自分がだまされたと知り、とても怒っている。 あぁわかったわかった、今回のは確かに悪趣味だったよ…反省してる。 「聞いてますか!?レイ!」 「…だって海で遊びたかったんだもん。何を言っても君は海に入ろうとしないし」 「――…」 ルースの顔が急に赤くなった。さっきまで真っ青だったくせに、忙しい奴だ。 「それは…」 「え?」 何かボソボソ言っている。何なんだ一体。 「だから…それは…裸というのは抵抗が…」 「見られるのが恥ずかしい?何を今更―…」 「いえ、そうじゃなく…あなたの体は目に毒ですから…その…もし変な気分になったら困る」 そうか、ようやくわかった。彼が気にしていたのは、遊んでいる最中に発情したら恥ずかしいってことだったのか。 「ふふっ何だ…それも今更だよ。」 2人だけの時間、何をしたっていいじゃないか。 ここはプライベートビーチなんだから――… 私はルースの真っ赤な頬を両手で包んでキスをした。