妻木芳人オリジナルBL漫画サイト「DANCE HALL」

「ロマンティックナイト」

イラスト「ロマンティックナイト」

「待てー!黒の紳士ー!!」大声で叫びながら身なりの良い中年男性とその他大勢が通り過ぎる。 「今日は一段としつこかったねー…」木の上でくつろいでいる対照的な二人の紳士。ため息をつきながらつぶやいたのは、黒い服を着た方だった。 「まぁ…彼らも仕事ですから」軽く苦笑いを浮かべながら、今度は白い服を着た方がつぶやいた。静かな夜、サワサワと木の葉を揺らす風の音だけが聞こえる。 「早く帰って気持ちいいこといっぱいしたいなぁ(ハート)」「…!!」突拍子もないことをふいに耳元でささやかれた白の紳士は動揺を隠せない。 それを見てニヤニヤ嬉しそうな笑みを浮かべながら、相手の体を好き勝手まさぐり始める黒の紳士。 「君も気持ちいいことは好きだろう…?あんなに情熱的に私を抱いてくれたんだものね?」「…っやめてください!!…あなたって人は…!」「ルース君やめたまえ…!うわ…っ!」 ひゅーん。いつも通りのやり取りではあったが、今回は場所が悪かった。なんとか逃れようと白の紳士が身を捻った瞬間、二人はバランスを崩し、木の下へ落ちてしまったのだった。 「痛っ~…!」受け身をとったとはいえ、やはりそれなりの高さから落ちれば痛い。ただ白の紳士は黒の紳士を下敷きにしていたため、少しの衝撃で済んだようだ。 「すみません…!」「…」ふいに二人の目が合った。体を起こすのをやめ、妖しく光る緑色の目に吸い寄せられるように、白の紳士は顔を近づけた。 「星空が綺麗だね…」唇が触れるか触れないかのところで、そういうムードをあえて壊すように黒の紳士がつぶやいた。 行為には積極的なくせに、少しでも気持ちを見せるとはぐらかす…レイモンド・ミラーとはそういう男だった。 「本当ですね…」白の紳士は少し切ない気持ちになりながら、寝転がって夜空を見上げた…が、間もなく、右手に何かが触れたような気がして、隣を見やった。 「…もう少し休んでから帰ろうか」珍しく少し照れた表情でそうつぶやく黒の紳士がいた。 今はこれでいい…この関係でー。切なさと幸せな気持ちの両方を感じながら、白の紳士は「ええ…」と小さな声で答えた。