妻木芳人オリジナルBL漫画サイト「DANCE HALL」

「Sweets」

イラスト「Sweets」

(Sideルース)おかしいと思ったんだ…行列も人ごみも嫌いなレイが新しくできた人気スイーツ店に行こうだなんて…。 その日突然僕の家(とは言ってもレイから借りているんだけど)に現れたレイは嬉々とした表情で「マリアから聞いたんだが、街にすごくおいしいスイーツ店ができたそうだよ?さぁルース君今行こう!すぐ行こう!」と言い出した。 僕は半ば無理やり連れ出され、今こうしてフォンダンショコラが来るのを待っているというわけだ。「お待たせしました」若い女性の声がカフェテラスに響く。 置かれたものを見ただけで「なるほど」と納得した。どう見てもおいしそうな上、綺麗に飾り付けられたそのスイーツは、女性にとても喜ばれそうな感じがする。 そう、他のスイーツ店同様、この店もやはり客はほとんど女性ばかり。男性と言えばカップルで来ていると思しき人が数人いるぐらいなもので、 男二人で座っている席なんかここだけだ。僕は正直居心地が悪かったが、隣のレイはスイーツの乗った皿を見て「綺麗…」と目を輝かせている。 「(まぁ、レイは嬉しそうだし…いいか…)」愛しい相手が喜んでいれば自分も嬉しい、恋とはそういうものだ。そんなことを考えていると、ふいに隣から声が聞こえた。 「あーん」「…は?」僕はあまりのことに一瞬目が点になってしまった。「ルース君ほら、あーんだよ。あーん」 目の前のニヤニヤ顔を見てようやく僕は気が付いた。この人はスイーツを食べたかったわけじゃない…ただ僕が困るのを見たかっただけなのだと。 「だからなんであなたはそういう子供みたいなことを…っ!」予想通りの反応を得られたからかレイはとても満足そうに微笑んでいる。 「恥ずかしがることないじゃないか。私と君の仲なんだから」周りの女性客がこちらを見てクスクス笑っている。 それでも断れないことを知っていて、彼はこういういたずらをしかけてくるのだ。 「…あーん」ああ、恋とはなんて恐ろしいのだろう…!僕は大きくため息をついた後、おずおずと口を開けるのだった。